
滞在中に、深夜のメール一通でアカウントを消された ― Airbnbと民泊ホストとの1か月
English version: They Deleted My Account by Automated Email, in the Middle of the Night, While I Was Staying There
2026年5月、私は海外から一時帰国し、東京都内にある民泊を、Airbnb経由で5泊予約した。支払額は214,002円。後に知ったところでは、このうち36,492円がAirbnbのサービス料で、177,510円がホスト側に渡っていた。
その滞在の最中、深夜に届いた一通の自動送信メールから、1か月にわたる交渉が始まった。以下は、手元に残っているメールに基づく記録である。日時はAirbnbの記録に合わせてGMT表記とする(日本時間は+9時間)。ホスト(民泊運営会社)の社名と代表者名は伏せる。画像は個人情報をマスキングした。
なお、その民泊は階段が急で、私は二階の寝室に上がることができず、一階のソファで仮眠をとっていた。
1. 深夜のメール
5月22日 10時42分(GMT/日本時間同日19時42分)、Airbnbから「Your account has been removed」という件名の自動メールが届いた。本文にはこう書かれていた。
"Your account has been removed from the Airbnb platform because we've noticed some unusual payment activity—for example, a compromised payment or payout method."
(お客様のアカウントは、異常な支払い活動 ― たとえば、不正利用された支払い方法または受取方法 ― を検知したため、Airbnbプラットフォームから削除されました。)
同じメールの「Why we made this decision(この決定をした理由)」の欄には、続けてこう書かれていた。
"For the safety of our community, we may remove accounts if we notice activity that could lead to fraud, scams, or abuse."
(コミュニティの安全のため、当社は詐欺、詐取、または乱用につながりうる活動を検知した場合、アカウントを削除することがあります。)
そして、こうも書かれていた。
"Any future reservations have been canceled and fully refunded. Refund timing will depend on processing times for your payment method."
(今後の予約はすべてキャンセルされ、全額返金されました。返金の時期は、お客様の支払い方法の処理時間によります。)

証拠1:2026年5月22日、Airbnbからの自動送信メール(個人情報はマスキング)
一通の通知の中に、性質の異なる二つの説明が並んでいる。「決済方法が不正利用された可能性がある」というのは、利用者が被害者でありうる事象である。「詐欺、詐取、乱用につながりうる活動」というのは、利用者が加害者であることを前提とした指摘である。どちらなのかは、最後まで示されなかった。
私は当時、その予約で宿泊している最中だった。滞在は5月21日から26日まで。メールが届いたのは、その2日目の夜である。電話も、担当者からの連絡もなかった。自動送信のメール一通だけだった。
2. 直接の支払い
帰国直後で疲れ果て、他に行き場もなかった私は、翌朝ホストに直接電話し、事情を説明して、予定どおり泊めてほしいと願い出た。ホストは、延泊するなら合計256,802円になると伝えてきた。私は送金サービスを通じて、その金額をホストの銀行口座に直接送金した。
ここで金額を整理しておく。
- ホストは、5泊分として、Airbnb経由で既に 177,510円 を受け取っていた
- その上で、延泊を含む滞在について、私から直接 256,802円 を受け取った
- 同じ滞在について、ホストが受け取った総額は 434,312円 になる
- Airbnb上の単価は1泊あたり約35,500円である。同じ単価で6泊を計算すれば、約213,000円になる
また、この支払いはAirbnbのプラットフォームを介さない直接決済であり、これによって私はプラットフォーム上の保護を受けられない状態になった。当時の私に、それを疑う余裕はなかった。
3. 「これ以上の支援は提供できません」
私は、削除の理由を尋ね、身に覚えがないことを繰り返し説明した。返ってきた回答を、日付順に並べる。
5月23日、担当者Kumar氏より。
"We've given your case and its details careful consideration. At this time, we won't be able to restore your account or offer you additional support on this matter"
翌5月24日、担当者Mohd氏より。
"We've given your case and its details careful consideration. At this time, we won't be able to restore your account or offer you additional support on this matter"
二通は、担当者名を除いて一字一句同じ文である。私が個別に挙げた質問 ― 停止の具体的な理由、異議が却下された理由、自動判定が関与したか、返金の金額と時期、現在の滞在を継続できるかどうか ― には、いずれも回答がなかった。

証拠2:5月23日(GMT)Kumar氏からの回答

証拠3:翌5月24日(GMT)Mohd氏からの回答。担当者名以外は同一文
そして5月25日、担当者Alex氏より、回答が一転した。
"After reviewing your account again and the information available at this time, we've determined that your account should be restored."
同じ情報について、三日のうちに正反対の結論が出たことになる。どちらかの判断が誤っていたことは、この経過自体が示している。
4. 「プライバシーポリシーにより開示できません」
私は、なぜ削除されたのかを改めて尋ねた。同じ5月25日、Alex氏の回答はこうだった。
"Due to our privacy policy we're unable to release any information regarding the disablement of your account, but please know that a full and thorough investigation has been carried out."
(プライバシーポリシーにより、アカウント停止に関する情報は一切開示できません。ただし、完全かつ徹底的な調査が行われたことをご承知ください。)

証拠4:5月25日(GMT)Alex氏による理由開示の拒否
ここで保護されているプライバシーは、私自身のものである。私が私に関する情報の開示を求めているのに、私のプライバシーを理由に断られた。そして同じ文で「徹底的な調査が行われた」と告げられた。開示されない調査を、外から検証する方法はない。
5. 返金
アカウントは復旧した。しかし、通知に書かれていた返金は履行されなかった。5月31日、私は改めて、返金が承認されたのか、金額と方法と時期はどうなっているのかを書面で尋ねた。回答はなかった。
問い合わせを続けると、回答は変わっていった。「返金する義務はない」。次に「二重払いを解決するにはホストが約17万円を当社に返金する必要があるが、ホストは返金を拒否している。したがって返金する義務はない」。
当初の通知文には、返金の時期が支払い方法の処理時間によるとは書かれていたが、返金の有無に条件がつくとは書かれていなかった。
6月4日には、また別の担当者Divya氏から「アカウントが復旧されました」という連絡が来た。10日前に既に解決していた件である。私は返信で、Twitter経由の問い合わせ、メール、越境消費者センターへの申立てが、一つの案件として紐づいていないのではないかと指摘した。
問い合わせのたびに新しい担当者が割り当てられ、その担当者は私の事案を把握していないため、毎回一から説明し直す必要があった。対応した担当者は合計で25名前後(アイルランド法人21名前後、日本法人4名)に及んだ。
6. ホストとのやり取り
私はホストに電話し、返金を拒否する理由と、金額の根拠を尋ねた。ホストの担当者は「これは水増しではない」「価格設定についてあなたに説明する必要はない」「最終的にお金を支払って同意したのはあなただ」という趣旨のことを述べて電話を切った。以後、私からの電話は着信拒否されるようになった。
ホストは「17万円はAirbnbに返金した」と主張し、Airbnbは「ホストからの返金は受け取っていない」と回答した。両者の主張は矛盾していた。私は双方の回答を書面で突き合わせ、ホストに説明を求めた。
7. 結果
最終的に、ホストは177,510円をAirbnbに返金し、Airbnbは6月29日に177,510円、6月30日に36,492円、合計214,002円の全額を私に返金した。
つまり、私がAirbnbに支払った代金は、最初の通知どおり返金されるべきものだった。それが実際に戻るまでに、1か月と、25名前後の担当者とのやり取りを要した。
一方、ホストに直接支払った256,802円のうち、上乗せ分に相当する金額は、現在も返金されていない。
8. この間に起きたこと
私はこの件で、弁護士、警察、消費者ホットラインに相談した。返ってきた言い分をまとめるとこうなる。「これは詐欺でもないし、企業が理不尽な対応をしたわけでもない。あなたを守る法律はない。金を払ったあなたの責任だ。星の数ほどいる弁護士の中から、助けてくれそうな人を自分で探しなさい」。
越境消費者センターにも申し立てたが、そこでも「弁護士を探すしかない」という回答だった。警察署(亀有警察署)にも相談したが、同様に「弁護士を探すしかない」と言われた。
都内の大手法律事務所にも法律相談を申し込んだが、受任は断られた。その相談の場で何が起きたかについては、別の記事に書いた。
この間、私の不眠は悪化した。帰国後、1日に1時間ほどしか眠れない日が3週間近く続き、6月下旬、私は倒れることを恐れて救急車を呼び、病院に搬送された。
またこの件について、私はX(旧Twitter)で、政治的立場の異なる複数の政党の公式アカウントに、同じ内容で意見を求めるメンションを送った。どこからも返事はなかった。
9. 残ったもの
結果として、Airbnbに支払った214,002円は全額戻った。ただしそれは、専門家の助けによってではなく、私自身が1か月交渉を続けた結果である。
深夜に自動送信のメール一通で滞在中のアカウントを削除したこと、性質の異なる二つの理由を同じ通知に併記したまま最後まで特定しなかったこと、二度にわたり同一の定型文で門前払いしたこと、理由の開示をプライバシーポリシーを根拠に拒んだこと、そして担当者間で事案が引き継がれなかったこと。これらについて、説明も謝罪も、最後までなかった。